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日記

僕とおばあさん

・忘れもしない高校2年生の大晦日の雪が降る夜。
友達と地元の神社にお参りに行くために向かう途中、腰の曲がったおばあさんが自転車を漕ぐ俺に近づいてきた。
腰の曲がったおばあさんは申し訳なさそうに、だが歯がないのか良く喋れないながらもこう伝えてきた。
「あのー、私ね、あのー西川口の方から来てね、あのー生活保護の申請にね、こっちに来たんだけどね、生活保護の申請が下りずにね、あのー帰りの電車賃がね、あのー、帰れないんですよ……」
10分くらい一人でベラベラ喋った後、おばあさんは俺にこう頼んできた。
「あのー、1000円でいいので貸していただけませんかね。駅員さんに言ってね、明日返しておくのでね、明日返してもらって。あのー、ね、本当に帰れなくてねぇ…」
寒い雪の中生活保護の申請に来てそれが通らず、しかも帰れなくて困ってるおばあさんを助けない鬼畜がどこにいるだろうか?
僕は財布から1000円を取り出し、じゃあ、これ、寒いから気を付けてくださいねとおばあさんに渡した。
おばあさんはありがとうございますと礼を言うと雪の中に消えていった。
良いことをした、もしかしたらあの人は福の神が人間の姿に化けたいたのかもしれない。
困っていた人を助けた僕は恩返しでそのうち良いことあるかも!とか考えたり、僕の心は1000円の出費より幸せ間でいっぱいだった。
おばあさん、無事に西川口に帰れたのかな?

 

 

その1年後、予備校に通うようになった高校3年生の9月。
予備校帰りに自転車で帰宅中、腰の曲がったおばあさんが自転車を漕ぐ俺に近づいてきた。
「あのー、私ね、あのー西川口の方から来てね、あのー生活保護の申請にね、こっちに来たんだけどね、……」
「いや、僕金持ってないんで。」

恐らくあの日から人に親切にすることを忘れた気がする。
ついでに最近そのババアを見ることが無くなったので、恐らく西川口に帰れたんだと思う。

 

最近深夜自販機の前に女の人が座り込んでたり、電柱の下でビニール袋持ったババアが立ってたり、ブツブツ独り言を喋りながら徘徊する浮浪者ジジイが居たり、地元がまるで進撃の巨人の壁の外みたいな感じになってる気がする。
そんな中僕と頭がイカレタ人の邂逅を思い出したので書いてみた。
誰か駆逐してくれ。